2013年11月19日火曜日

【みんなのフェスティバル】
ーダンス公演『コンテンポラリーダンス@西日本』ー



INTERVIEW Ⅱ
アーティストにきく『「場所」や「拠点」って?』

ー中間アヤカさん(大分・新長田)ー



みんなのフェスティバルの最終日に行われるダンス公演『コンテンポラリーダンス@西日本』。お題目は「ArtTheater dB神戸という劇場空間での"ソロダンス"の可能性を探る」。西日本の様々な地域で活動中のコンテンポラリーダンスの振付家/ダンサーが一同に会し、それぞれにとっての"ソロダンス"に取り組みます。
そこで、参加される8組の振付家/ダンサーに活動する「場所」や「拠点」ということをキーワードにお話を伺いました。
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今回インタビューに答えて下さったのは、現在、新長田に住んでいるダンサーの中間アヤカさんです。ArtTheater dB 神戸の劇場の中、まだ椅子の並んでいない客席の床になんとなく腰をおろしお話を伺い始めました。




… 中間さんのご出身はどちらですか?

中間 出身地は大分県別府市です。

… 中間さんが踊りを始められたのはどちらですか?

中間 踊りを始めた場所は、別府の近所のリズム体操とバレエみたいな感じの教室でした。

… 今はどこを拠点に活動されているんでしょうか?

中間 住んでるのは新長田で、そこから神戸だったり京都だったり、その周辺で踊っています。

… では、現在までにどんな場所で踊って来られたのかを教えて下さい。

中間 最初、その別府のバレエ教室で踊ることを始めてからバレエ教室を4回くらい変わってて。別府から隣の市の大分市でも習っていました。その後、17歳の時にイギリスのロンドンのバレエ学校に2年間留学して、帰国後また別府に帰ってきました。それからは全然一年間踊りをやってなくて、その時たまたま見つけたDANCE BOXの「国内ダンス留学@神戸」に参加しようかなと思って、それがきっかけで新長田に来ました。

… イギリスのロンドンで勉強しようと思ったのはなぜですか?

中間 そう思ったのは、ちっちゃい頃からバレエをやっていて、ずっとバレエダンサーになりたくて。バレエダンサーになるには留学して向こうの学校に行ったらなれるのかなと思っていたので、ずっと留学したいっていう気持ちがありました。それで、オーディション受けたら受かったので行きました。

… バレエダンサーになりたいと思っていたのに、国内ダンス留学を見つけて参加しようと思った理由って?

中間 理由は、イギリスのバレエ学校ではバレエとコンテンポラリーの授業が同じくらい多くあって、その時にコンテンポラリーの方が楽しいなと思うようになりました。けど、その2年間で踊る事に凄く疲れてしまって、もう踊りなんかやりたくないと思って。本当は学校には3年間行くはずだったけど、2年間でやめて日本に帰ってきました。それから1年間全然踊らずに普通にアルバイトしてました。ただ、1年経った時になんか違うのかなと思い始めて。やっぱりずっと踊ってきたから何となく踊りが恋しくなって。その時に海外の学校やカンパニーのオーディションを受けて良い結果がもらえたので「ああ、もしかしたらまだまだ踊れるかな」と思いました。けど、海外っていったらまた一から行くにはお金もかかり過ぎるし、国内で踊れるところ無いかなって探した時にちょうどここ(「国内ダンス留学@神戸」)の事を知りました。

… では、現在新長田を活動の拠点だと思いますか?あと、拠点という場所をどういうふうに思っていますか?

中間 新長田を第二の地元みたいには思うけど、自分の踊りの拠点では無いかなと思っています。新長田に住んでて、今はそこで国内ダンス留学の二期生と一緒に踊りのレッスンをしていたりしてるけど、自分が発表する場所はいつも新長田というわけでは無くて。自分が舞台に立つ場所は大阪だったり、京都だったり、たまに東京に行ったりっていう事もあって。新長田でいつも作品に参加している訳ではないので。そういう意味では、自分の踊りの拠点はどこにも無いのかなと思います。

… ロンドンや大分、東京、神戸、京都など色々な場所で踊られてきて、それぞれの場所で何か違いを感じることはありますか?

中間 うーん。あるけど。なんだろうな。自分の感情とか、この場所だからこういう踊りを(しよう)みたいな事は別になくて、自分の気持ちが変わる事は無いです。けど、やっぱり環境が変わるとお客さんの質って言ったらいいのかな?言い方が難しいけど、お客さんの感じも、見られてる感じも違うし、あともちろんギャラも違うし(笑)。そういう意味で。もちろん東京と、特に大分なんかは全然違う。東京だったら、踊りなんかたくさんあるし、もちろん神戸もそうだけど。そういった環境の中で、ほんとに踊りを日常的に見に行っている人や、関係者とかもたくさんいて。大分だと一年に一回か二回ダンスが来るか来ないかっていう環境だから、そういう中では違うなって思う事はあります。でも、(そこで踊る)自分の気持ちはあまり変わらないかも。なんか、自分はただそこに居て、周りが変わってるなっていうのを私はただ見ているだけかもしれない。

… では、自分が踊る場所として、今住んでいる新長田について何か気になっている事や思う事はありますか?

中間 あんまり無いかもしれない。私は今凄く恵まれているなと思っていて。踊りのレッスンをする場所もあるし、舞台で作品を発表する場所もあるし、他の人の振りを踊れる場所もあるから。今はあんまり気になる事は無いです。新長田については。うん。あのダイエーのレジ袋が有料化したのはちょっと痛いかな。(笑)他には、商店街があっておじいちゃんおばあちゃんが多くて、何となく雰囲気が別府の街に似てる。別府はもっと田舎だけど。ロンドンにも住んでたけど、ロンドンはあまり地元って感じはしなくて、ずっと憧れの場所みたいなイメージがある。新長田はまだ一年しか住んでないけど、電車おりて新長田の駅に着くと「あぁ帰ってきたな」って思うし。私にとって住みやすい場所なんだと思います。

… なんで、ロンドンはずっと地元みたいにはならなかったのかな。

中間 うーん。自分の国の言葉じゃないっていう事はあると思う。あとは、ずっとちっちゃい頃から、バレエの事でもそうだけど、イギリスやロンドンに対しての憧れがまずあって。ハリーポッターとか好きだったし。あとロイヤルバレエの存在もあって。ずっとずっと憧れの国だったから。実際行ってみても住んでも、新長田より長く住んでたけどあんまり心休まる場所じゃなかったかも知れない。毎日勝負してました。学校でも、家に居る時も。知らない人と4人で家をシェアしていたから。舐められると思ってたし、一番英語出来なかったから。隣の住人と話すのも勝負みたいな。一回一回、英語でなんて言うのかなってとりあえず調べて、自分の中でシュミレーションしてから喋りに行くみたいな事もありました。そういうところで何となく気が休まる場所では無かったのかもしれない。

… 日本に帰ってきてから勝負する瞬間はある?

中間 ダンス留学の時は凄い思ってた。あとは、オーディションとか受けたりした時ももちろんそう思います。ムナシ(飲食店「宮本むなし」)で働いてても地元のおっちゃんおばちゃんとは勝負してる。むっちゃわがまま言われても「出来ません。」っていう事は大事だなと思う(笑)。パチンコ屋の隣に店があるからパチンコ帰りの人とか結構うるさいかな。夜に働いてるとやっぱり飲む人は割と難しいお客さんが結構多いし。うん。コミュニケーションなのかもしれない。私にとって勝負って。誰とでも話せるけど、別に誰にも心を許さないし。そういう意味でコミュニケーションの面は勝負してるかも知れない。

… では最後に、中間さんにとって活動の拠点ってどういうものなんでしょうか?出来れば、一言でお願いしたいなと思っているんですが。

中間 うーん、難しいな。私にとって、ここがいつも踊ってる場所とか、ここで踊りたいみたいなのってあんまりなくて、なんか、私が踊る場所は点在してて。全部。「どこでも舞台」みたいな感じかな。





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中間アヤカ

1992年生まれ。大分県別府市出身。3歳よりバレエを始め、英国Rambert School of Ballet and Contemporary Danceにて学ぶ。2012年「国内ダンス留学@神戸」への参加を機に新長田へ移住。同プログラム内ショーイングにてダンサー奨励賞受賞。近年、東野祥子(BABY-Q)Daniel Ezralow、村川拓也など様々な振付家・演出家の作品に出演している。









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【みんなのフェスティバル】ーダンス公演
『コンテンポラリーダンス@西日本』
日程:112317時 開演 
会場:ArtTheater dB 神戸
参加アーティスト:菊池航(大阪)、木村玲奈(青森/新長田)、くはのゆきこ(福岡)、高木貴久恵(京都)、中間アヤカ(大分/新長田)、三浦宏之(岡山)、目黒大路(鳥取)、yummydance(松山)