【みんなのフェスティバル】
ーダンス公演『コンテンポラリーダンス@西日本』ー
ーダンス公演『コンテンポラリーダンス@西日本』ー
■INTERVIEW Ⅲ
アーティストにきく『「場所」や「拠点」って?』
ー高木喜久恵さん(京都)ー
ー高木喜久恵さん(京都)ー
みんなのフェスティバルの最終日に行われるダンス公演『コンテンポラリーダンス@西日本』。お題目は「ArtTheater dB神戸という劇場空間での"ソロダンス"の可能性を探る」。西日本の様々な地域で活動中のコンテンポラリーダンスの振付家/ダンサーが一同に会し、それぞれにとっての"ソロダンス"に取り組みます。
そこで、参加される8組の振付家/ダンサーに活動する「場所」や「拠点」ということをキーワードにお話を伺いました。
そこで、参加される8組の振付家/ダンサーに活動する「場所」や「拠点」ということをキーワードにお話を伺いました。
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今回インタビューにお答えいただいたのは京都から参加の高木貴久恵さんです。インタビュー当日は「コンテンポラリーダンス@西日本」の公演に向け京都でリハーサルをされており、その後稽古場から別の場所へ移動しお話を伺いました。
--- ご出身はどちらですか?
高木 京都市です。
--- どちらで踊りを始められましたか?
高木 京都で始めました。生まれも育ちも京都です。
--- 踊りはどんな事から始められたんでしょうか?
高木 子供の時にバレエを少しやってたんですけど、本格的に自分が舞台に関わろうと思ったのは大学に入ってからです。京都の大学だったので、京都から出ず、そこからずっとやっています。
--- 大学に入って舞台に関わる事を本格的にやろうと思ったきっかけって、どんなことでしょうか?
高木 もともと大学(京都造形芸術大学)で、身体をモチーフに自分の作品を作っていたんですね。それは美術作品で、映像だったりインスタレーションだったり、(ダンスとは)違うメディアを使って表現してたんですけど。何かこう「ダンスも身体だな」っていうのを改めて考えることがあって。造形大には、ちょうど私が入学した時に舞台芸術学科っていうコースが出来たんです。私はそのコースではなかったんですけど、コンテンポラリーダンスっていうものを初めてそこで知ったんです。それまでクラシックバレエとかモダンダンスとかしか見た事がありませんでした。その時にすごく面白いと思って。一番最初の体験としては、山田せつこさんの踊りを大学で見た時に、なんでかわからないけどとにかく涙が止まらなくなって。「身体ってこんなに美しくて、人の心を揺さぶることが可能なものなんだ」って思ったんですよね。それでダンスって言うものに凄く興味が強くなっていったんです。
そんな時期にdotsっていうカンパニーが舞台芸術学科の一期生で結成されました。dotsは舞台コースの人と映像コースの人で結成されたスタッフがメインのカンパニーで、そこに私は出演者として誘われまして。それがきっかけで自分が舞台に立つ事になりました。そこから今まで続いてて、活動してるって感じです。
--- 現在も京都を拠点に活動されているんですよね。
高木 拠点はずっと京都です。自分が京都以外の場所で住んだ事が無いので、逆に(拠点として)意識してないですけど。稽古場があるとか、一緒にやっているメンバーの人たちが居るとか、っていうことがそろっていて。環境があるので、そういうふうになっちゃってるというか。今まで「じゃあちょっと京都離れてみょう」ていうふうにも思わなかったんですよね。そのままずるずると。実家も京都で、大好きな街やし。なんかそこまで自分の中で離れる理由が見つけられなくって。なので、京都で創ってるっていうのは自然な事というか。逆にあまり拠点っていう風に感じた事も無いかもしれないです。
--- 高木さんにとって住む場所と活動する拠点って言うのはほぼ同じ意味ですか?
高木 今はそうですね。今も、今までも。でも、このまま一生そうだとはあんまり思わないです。もしかしたら離れるかも知れないし。無理に京都に留まろうとかも思わず、自然の流れに身を任せてるって感じです。
--- 活動をする場所として京都以外で興味のある街とかってありますか?
高木 どこでも興味はあります。どこでも行ってみたいし、そこに住む人の踊りも見てみたいです。
--- 京都で活動をしていて面白いなと思う事、気になっている事ってありますか?
高木 狭い街なので、知り合いに道でよくすれ違ったりします。みんな自転車で移動するからか、なんか距離感が近い感じ。芸術センターに行ったら誰かに会っておしゃべりできるし。そういう(人と人の距離が)近い感じは好きです。
--- では一度、拠点や京都っていう事を置いておいて、高木さんにとって、ここは自分の場所だなって思うところってありますか?
高木 ないです。生まれ育った所とかっていう事とはちょっと話が変わるかもしれないですけど。それは自分が作品を作る上での、衝動みたいなのにも近いものなんですが。自分が生まれてきて、この世界の中に存在を許されている場所ってあるのかなってことを、ちっちゃい時からずっと探してるというか・・・そういう場所が自分の中で無いんです。もちろん京都には実家があって親がいて、現実的にはそうなんですけど、もうちょっとこう精神的な部分で、自分を俯瞰した状態でみると、自分の居場所ってどこなんやろって。そういう疑問が、作品を立ち上げる時にも根底にあって。だから、自分の場所だって思える所はないんですね。凄い自分の中の話になっちゃうんやけど。なんかこう、この肉体、物質として生まれてきてしまったこの身体をどこに置いていいかがわからなくって。探してますね。
--- 生まれてからずっと京都で生活をされ、活動もされていますが、選んでそうされていると思ったりしますか?
高木 はい。京都が大好きだから。でもだからこそ一回離れたいっていう気持ちはあるんですけどね。いつ、どこに、とかはわからないけど、自分がこの先どっかで一回京都を離れたいって気持ちはあります。
--- では最後に、高木さんにとって今活動している場所ってどういうものなんでしょうか?可能なら一言でお願いしたいなと思っているんですが。
高木 うーんむずかしいな。すっごいとんちんかんな答えかも知れないけど、「水」みたいな感じ。毎日飲む水。自分の中に入って、また自分の中から出て行って、吸収して出ていって、吸収して出ていって。なんかその場所にある風景だったり、人だったり、音だったり、すべてのものを、たぶんこう、意識的にしろ無意識的にしろ、自分が吸い取ってて、それが濾過されて自分の感覚とか考え方とかが形成されてるんやろなって。自分ではあんまり意識せず、毎日ただ水を飲むみたいに、ただそこに居るだけなんやけど。そういう感じです。
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コンテンポラリー、ジャズダンスを学ぶ傍ら、学生時より'身体'をモチーフにした美術作品を創作。03年よりパフォーミング・アーツ・カンパニー〈dots〉の活動に参加。出演・振付も行う。以後様々な振付家の作品に出演。
近年は自身の作品「あなたの輪郭はいつも美しい」(アトリエ劇研)、「Naked ,a room」(Art theater dB)などの他に、Dance Fanfare Kyotoや演劇作品への振付など様々なプロジェクトにも参加している。
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【みんなのフェスティバル】ーパフォーマンスー
『コンテンポラリーダンス@西日本』
日程:11月23日 17時 開演
会場:ArtTheater
dB 神戸
参加アーティスト:菊池航(大阪)、木村玲奈(青森/新長田)、くはのゆきこ(福岡)、高木貴久恵(京都)、中間アヤカ(大分/新長田)、三浦宏之(岡山)、目黒大路(鳥取)、yummydance(松山)