2011年3月12日土曜日

【ティクバ+循環】レポート後半

遅くなりましたが、
ティクバ+循環プロジェクトの後半~本番までのレポートをしたいと思います。

その前に、
東北地方太平洋沖地震で被災されている方々にお見舞いを申し上げ、
亡くなられた方々のご冥福を心よりお祈りいたします。



3月1ー3日

2月27日の滋賀でのワーク・イン・プログレスの発表の反省から、
神戸公演本番までのクリエーションの方向性をよりはっきりとさせるため、
もう一度原点に戻って『対話』に焦点をしぼり、
インスタレーションとの関わり合いを見直すことも含め、
それぞれのシーンの整理をしていきます。


即興による一対一の対話が次々に試されていきます。


それによって増えるシーン、惜しくも削られてしまうシーン・・・
構成・振付の砂連尾さんと、ドラマトゥルクの中島那奈子さんによって
厳選されていきます。

最後の追い込みでたくさんのことが試され、細かい事が変更になり、
パフォーマー達も疲れと焦りで混乱させられてしまう事もありましたが、
集中して乗り切ろうと励ましあってる姿が印象的です。

そんな出演者・スタッフ達に頑張って頂くために、3月3日は「おひなまつりメニュー」にしてみました。



3月4日

本番前日。
朝から客席作りです。
今回は、ちょっと分かりにくいですが上の写真のような感じで、舞台と客席の位置を入れ替えました。

そして最終日も、やや緊迫しながらも、最後の最後まで粘り強くクリエーションは続きます。
パフォーマーから出る動きや表現をカチッと固定させることなく、
即興の幅で動きや表現・シーンを出来る限り洗練させていきます。
立命館大学映像学科の望月先生も頭をもじゃもじゃさせながら、
パチパチとマックのキーボードをはじいています。(映像のプログラミング中)
上演中に映し出される映像と出演者・空間がどこまでどのように関わっていけるのか、
妥協されることなく、デジタル(映像)⇔アナログ(身体表現)のインターアクティブや
双方からのアプローチが追求されていきます。

休憩中のニコとカロル、どんな時もこの二人の間には「和」が・・・癒されます。


3月5・6日

とうとうやってきました神戸公演本番。
朝からやや緊張気味の出演者達でしたが、
本番は落ち着いてむしろ楽しんで舞台に立っていました。

3公演ともたくさんのお客様に来ていただき、
公演後のポストトークでもそれぞれの専門分野からの視点で
この作品の批評からさらに奥深く興味深いお話が展開されました。

6日の公演後、ドイツチームのニコルとマキコさんによる手料理のおもてなしです!
前夜から30人前以上の夕食を作ってもらいました!
そして、全員一言ずつ感想を述べていこうとなった時、
すかさずマイクに見立てたビール缶でインタビューに回ったのがお馴染みこの方!
カロルでした!
本番が終わってから、急にお別れが寂しくなったのかずっと静かで元気がなかったカロルでしたが、
彼のユーモアさと間の良さは本当にいつも私達を笑わせ和ませてくれました。

その全員のインタビューの中で印象的だったのが、本来はティクバの演出家のゲルトの感想。
本番を終えて、彼は一つ大きな問題にぶち当たっていると。
今回のプロジェクトは彼にとって約20年ぶりの出演者としての舞台だったそうです。
それまで、自分が役者として舞台に立つことに対して興味がなくなっていたのに、
この出演で、また舞台に立ちたいという強い気持ちが出て来てしまったそうです。
今後の活動をどうすればいいんだ!と頭を抱えていました。
さぁ、彼はどうするんでしょうか?先が楽しみです!

そして全員のインタビューを終えたカロルは、缶を資源ゴミとして捨てるところまで
パフォーマーとして気を抜きません。


3月7日

別れの朝。
宿泊していた寿荘をあとに
ニコル・ニコ・カロルの3人は関空へ向かいます。
中島さんもお見送りに来てくださいました。
関空行きのバスに乗る前、みんなでドイツにはないホット缶コーヒーで乾杯。
ニコルと短いようで盛り沢山だった2週間を振り返りながら
またドイツか日本で再演できるように頑張ろうと約束をしたのでした!

このプロジェクト・作品を通して、言葉・文化を超えた、それを問題としない
本来の対話・コミュニケーションについて考え直し、
また、「豊かさ」とは何なんだろうか?と考えさせられました。

改めまして、出演者やスタッフ・関係者のみなさん、お疲れ様でした。
興味を持ち観に来ていただいたみなさま、本当にありがとうございました!

そして、3月22日(火)18時から『循環プロジェクト 日韓美術交流展 「ing」』で
今回の出演者の砂連尾理さんと福隅宣弘さんによるオープニングパフォーマンス
があります。こちらも是非ともよろしくお願いいたします。
詳しい情報は、こちらでチェックしてみてください。